カオス。最近ではいたるところで耳にする言葉。
混沌とも訳され、無秩序でさまざまな要素が入り乱れ、一貫性が見いだせない
ごちゃごちゃな状態を形容する言葉として使われることが多い。
以前、物理の研究室でカオス理論というものを説明された時にこういった表現をされた。
あなたの手の甲に水を1滴垂らすとする。
それは皮膚を伝い、どこに落ちていくのか。
人差し指なのか中指なのか、はたまた指と指の間に落ちるのか。
どの地点を通過している時もその次どこに進むのかは無限に可能性があり、
それで進んだ先にも無限に可能性がある。
つまりその微小な初期値の違いが時間の経過とともに決定的な違いを生み出していく。
この写真集を読むといつもこの話を思い出す。
自然にできるものはいつも人間の理解も想像も越えていく。
人間の意思の届かないさまざまな事象の積み重ねによって作り出される
自然の諸相は我々を圧倒してくるとともに、“美しさ”を感じさせてくれる。
ヨーガンレールのインスピレーションはきっとそういうものから生み出されたのだと思う。