ババグーリには手織と機械織、2種類のパイル織のタオルがある。
もうだいぶ前のこと。
ヨーガン レールがインドから持ち帰った手織のパイル布を初めて目にしたとき、
手紡ぎの綿糸のループが少し不揃いに波打った、そのゆたかな表情と、
パイルのタオルを手機で織る文化がいまだ存続する、インドの手仕事の底知れぬ奥深さに驚いた。
それから産地を探し求め、ようやくオリジナルのパイル布を作ってもらうまでには時間を要した。
それもそのはずで、パイルの手織は様々な織物の技術を擁するインドの中でも
珍しく貴重なものだという。
縦糸をぴんと張らせた糸と、緩ませた糸との異なるテンションでループを作る仕事には
熟練の技術が要求される。
インド北東部・ネパール国境に程近い村で、今では織り手がごくわずかとなったうえ、
彼らの農閑期に少しづつ時間をかけて作られたパイル織。
厚みは2タイプ。細めの糸でループを小さめに薄めに織られたものはタオルに。
ループを大きめにした地厚なほうは、マットとして使うのに丁度よい。
ソファなどに敷いてごろんと寝ころぶのにも、これからの時期には重宝する。
ともに洗いを繰り返すと、ざっくりと頼もしい素材感が、いっそう心地よく肌に馴染む。
ただし、使いはじめのうちは洗濯時に綿の糸くずが出やすいので、単独で洗うことをおすすめしたい。
機械織のタオルは愛媛で生産。
縦糸の太さを不揃いにし、こちらもループが揺らいだような独特な表情がある。
素材の有機栽培綿の心地よさを存分に生かした、やわらかな仕上がりだ。
薄さも程よく、乾きやすくて扱いやすい。
さて今日はどちらのタオルを使おうか。
その時々で選んでみるのも楽しみな、それぞれの風合い。