うつわ 土の音



Photo by Isao Hashinoki

今回、ババグーリ2011年春の撮影は、福島県双葉郡浪江町周辺で行った。
きっかけは、ババグーリの展示会 “注ぐもの展” での、亀田夫妻との出会いに始まる。
お二人に会うなり、ブログのモデルをお願いしすると、困惑気味ながら承諾を頂いた。
夫妻がババグーリの店内で、自らの作品を手にとって語らう様は、
私たちの思い描く “ババグーリを着る人” のイメージそのものだったから、
素敵に着こなしてくれることに疑いは無かったが、実際に工房を訪れ、お二人の人柄を知るうちに、
大きな共感とつながりを感じられ、すばらしい撮影になった。

大きな梁が時代を物語る、日本家屋を改装したギャラリーと相馬焼の歴史を伝える資料館、
相馬の地に息づく伝統を背景に現代の “用の器” を作り出す、
松助釜四代目窯元、亀田大介さんの作品を一挙に見ることが出来る。
特に素敵なのが、奥様の文さんの作品と同時に見ることが出来ること。
まるでお二人の人柄そのままの器に、思わず笑顔がこぼれた。
作者自らに話をきき、数ある中からゆっくりと器を選ぶ楽しさは、
撮影ということも忘れ、スタッフ全員がお気に入りの器を頂いて帰った程だ。
いくつもの窯元が並ぶ町を過ぎると、清流の高瀬川渓谷がある。
あたりは紅葉のモミジに覆われ、目の覚める美しさだった。
川には小魚やイモリが泳ぎ、夕暮れにはトンボが飛ぶ。
散歩をしているだけでも気分が晴れやかになる。
東京から車で3時間程、海岸線を北上しながら朝の海を眺め、内陸に20分も走れば浪江町だ。
出来れば天気の良い日に、電話で亀田さんの在廊を確認しつつ伺うのがおすすめだ。

うつわ 土の音
http://www.tsuchinone.com/

追記:
東北地方太平洋沖地震に亀田さんの工房も被災されました。